歯を失ってしまった際の治療方法として、入れ歯、ブリッジ、インプラントが挙げられますが、そのなかでもインプラントは自分の歯と同じように食べ物を噛めることや、寿命が長いことから選ぶ方が多い治療方法です。
しかし、インプラントはより長持ちさせるためにメンテナンスが必要です。
定期的なメンテナンスはもちろんのこと、日常的にも継続してセルフメンテナンスをする必要があるため、どんな方法でメンテナンスを行うべきか事前に理解しておきたいですよね。
この記事では、インプラントのメンテナンスが必要な理由、インプラントの定期健診の内容、頻度や費用などとともに、自宅で行うべきお手入れについてもご紹介します。
インプラントの治療を考えている方、メンテナンス方法が知りたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。
インプラントのメンテナンスが必要な理由
インプラントの平均的な寿命は10~15年といわれていますが、この寿命はメンテナンスをしっかり行った場合です。
まずは、メンテナンスが必要な理由を3つご紹介します。
口内の健康を保てる
インプラントの検診で歯科医院に通うことになると、定期的に口内の状況を歯科医院で確認できるため、インプラント以外の場所の健康を保つこともできます。
日本人が歯を失う可能性で最も多い歯周病や、その次に多い虫歯は、早期発見、早期治療が重要となるため、歯科医院へ定期的に通うことで早くそれらを発見できることや、予防にもつながります。
インプラント治療のあとは、最低でも半年に1回は歯科医院でメンテナンスを行う必要があるため、定期的に行うメンテナンスによって口内の健康も維持できるのです。
インプラント周囲炎の予防
口内が不衛生な状態だと、インプラントにもトラブルが生じてインプラント周囲炎になってしまう可能性があります。
インプラント周囲炎とは、インプラントの歯周病のようなもので、プラークに含まれる細菌が増殖して粘膜に炎症が起こり、以下のような症状を引き起こします。
- 粘膜が腫れる
- 粘膜から出血する
- 膿が出る
- 粘膜が退縮する
- 歯周ポケットが深くなる
- インプラントが動揺したり、脱落したりする
インプラント周囲炎は、通常の歯周病に比べて10~20倍のはやさで悪化していくとされており、予防や早期発見が重要となります。
しかし、自分では神経が通っていないことから痛みを感じないため、発見することが非常に難しい症状でもあります。
定期的に歯科医院でメンテナンスすることによって、万が一インプラント周囲炎になっていても長期間放置することなく治療を受けることが可能です。
メーカー保証を受けるため
インプラントはメーカー保証が5~10年ついているケースがほとんどですが、歯科医院としての保証の条件としてメンテナンスに通っている必要があります。
メンテナンス不足による破損などは保証の対象外となってしまう可能性があり、万が一インプラントが欠けてしまったり割れてしまったりしたというトラブルが発生した場合に、メンテナンスを怠っていたら保証を受けることができません。
メンテナンスをしっかり受けている状態で破損などのトラブルが生じた場合は、保証の期間内であれば無償または減額された額で治療を受けることが可能です。
歯科医院で行うインプラントの定期健診内容
歯科医院でメンテナンスを行うといっても、どのようなことをするのか気になりますよね。
ここからは、歯科医院で行うインプラントの定期健診の内容をご紹介します。
口内全体のチェック
インプラントの部分だけではなく、口内全体のチェックを行います。
- インプラント周囲炎の症状はないか
- 口内の清掃状況
- インプラント以外の虫歯や歯周病のチェック
- 被せ物や詰め物のチェック など
目視でインプラントの部分とそれ以外の口内のチェックをくまなく行い、その後噛み合わせのバランスもチェックします。
インプラントは骨とくっついて動きませんが、自分の歯は動くため、歯が動いて噛み合わせが悪く力が強く加わっている箇所などが発見された場合は、人工歯を削って調整を行うなどの処置をします。
また、食いしばりや歯ぎしりの癖がある方には、インプラントがすり減ってしまうことを防止するために、マウスピースを作製してリスクを軽減させることもあります。
レントゲン撮影による細かい確認
目視で口内をチェックするだけではなく、レントゲン撮影を行って骨の状態や歯槽骨の炎症、骨の吸収などの確認をします。
歯石の蓄積や虫歯の進行などもレントゲンでチェックできるため、インプラント周囲の歯だけではなく全体的に細かくチェックします。
クリーニングとブラッシングの指導
丁寧にブラッシングを行っていても、磨き残しが発生していたり、歯科医院でしか受けられないケアがあったりするため、磨き残しが酷い部分を重点的にブラッシング指導し、クリーニングも実施します。
汚れが酷い場合は、人工歯を外してクリーニングを行って、インプラントを長期的に維持するためのサポートを行います。
歯科医院でのメンテナンスの頻度
インプラントの治療は、しっかり噛めるようになってから1年以内に問題が起こりやすいとされています。
そのため、最初の2年間は3ヶ月に1回程度、その後は経過が良ければ年に2~3回程度を目安に歯科医院に通うことをおすすめします。
しかし、残っている歯にも歯周病や虫歯がある方に関しては、インプラントの定期健診以外の治療をしっかり行う必要があるため、その分歯科医院に通う回数は多くなります。
インプラントを長く使用するために、定期的なメンテナンスを心がけ、歯科医師に提案された通院回数を守るようにしましょう。
また、インプラントを装着したあとに引っ越しなどで歯科医院を転院したい場合は、速やかにメンテナンスに対応できる歯科医院を見つけて定期的な検診を行うようにしましょう。
インプラントのメンテナンス費用
インプラントのメンテナンス費用は、自由診療となります。30分~1時間の治療で費用相場は3,000~10,000円ほど。
口内の状態や歯科医院によって費用が変動しますが、インプラント治療のメンテナンス費用は医療費控除が適用されます。
医療費控除は通院の際にかかる交通費も対象となるため、税務署への申告を忘れずに行うようにしましょう。
医療費控除については、詳しくは国税庁のホームページなどをご覧ください。
自宅で行うべきお手入れ
ここまでご紹介したように、インプラントのメンテナンスは歯科医院で行う定期的な検診のことですが、自宅でセルフケアをしっかり行う必要もあります。
基本は歯ブラシを用いたブラッシングです。インプラントを傷つけてしまうことがないように、柔らかい歯ブラシを使用するようにしましょう。
歯ブラシは使用する際に歯を1本1本丁寧に磨いていくことが重要です。強い力をかける必要はないのですが、1本1本時間をかけて優しく磨いていきましょう。
歯ブラシ以外にも、フロスや歯間ブラシを使用してケアをすると、より汚れや歯垢を落とすことができるため、ご自身の歯の状況に合わせてフロスや歯間ブラシを使用するようにしましょう。
セルフケアの最後には、デンタルリンスの使用によって、歯周ポケットを守り歯周病を未然に防ぐこともオススメです。
また、喫煙は毛細血管を収縮させ血行を悪くすることがあるため、リスクを考え禁煙することが望ましいでしょう。ニコチンによって唾液の分泌量が少なくなることで、口内の細菌が繁殖しやすくなるというデメリットもあります。
インプラントの手術後は、喫煙がインプラントと骨の結合が遅くなる原因にもなりかねないため、注意が必要です。
まとめ
インプラントのメンテナンスが必要な理由、インプラントの定期健診の内容、頻度や費用などとともに、自宅で行うべきお手入れについてもご紹介しましたが、参考になりましたか?
インプラントはメンテナンスをすることで長期間維持することができるうえに、他の歯や歯茎を歯周病や虫歯から守ることもできます。インプラントの定期健診は痛みを伴う治療ではないため、安心してメンテナンスに通うようにしましょう。
また、自宅でのセルフケアをしっかり行うことは、定期健診に通うことと同様に重要となります。歯科医院でのブラッシング指導を受け、適切なセルフケアを毎日行うようにしましょう。
小伝馬町歯科・矯正歯科では、主治医をチームリーダーとしたチーム医療体制を整え、患者さま一人ひとりに最善の治療を提供するよう心がけています。
本院である秋葉原総合歯科クリニックと連携を取りながら、高性能の減菌器によって減菌処理ができる環境を整えています。
そのほかにもマイクロスコープやオーラルスキャナー、歯科用CTなどを用いて最新の治療を患者さまに提案させていただきます。
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